熱伝導率を活かす厚み

鋳物の強みとして挙げられるのは、熱伝導率の良さ、蓄熱温度の高さです。そして、これらを活かすには焼き面の厚みが必要でした。ただし、その反面どうしても重みが出てしまいますし、厚みを出すと尚、重さの問題が発生してしまいます。

「鉄の○○なのに重くない」といったコンセプトをウリにしている商品は世の中にありましたが、そこに合わせるわけではなく、鋳物としての最大限の魅力を活かしつつ、扱いやすい「重さ」が実現できるように、持ち手の大きさや本体とのバランスを1mm単位でこだわり抜き、設計・施策を繰り返しました。

味の変化

株式会社キューサイ分析研究所にて一般的なフライパンと「おもいのフライパン」を全く同じ条件で、同じ部位のお肉を焼き、味を数値化して比較分析をしました。
結果を確認すると、「肉のコク」がより強く出ていることがわかります。スッキリと消える先味から後味まで肉のコクが 強く表れ、肉らしさ、肉本来の味を引き出すことができています。
今回の「おもいのマルチパン」も同様に、おいしさを引き出す設計になっています。

無塗装で安全性の確保

普通の鋳物調理器具は塗装をすることで表面を滑らかにし、商品価値を高め る処理をします。
塗装は長年使っていくことで製品から剥げてしまい、調理の際に料理の中に塗料が混ざるリスクもあります。また塗装が有害な物質を発生させるとも言われています。私たちはこの塗装が人体にとって安全・安心なのかを突き詰めて考えました。

そもそも塗装をしないということで鋳物調理器具自体の製造難度も飛躍的に あがりました。鋳造するときにできる気泡や欠けを塗装でごまかすことがで きなくなるからです。無塗装仕上げは口だけではなく技術の求められる製造 工程でもあったのです。

しかし、石川鋳造はこれまでの歴史の中で鋳肌を滑らかに仕上げる職人の技 術力がありました。そうして「鋳物づくりを通して社会に奉仕する」という 私たちの理念を、無塗装という形で表現し、安全安心を食卓に届ける「おも いのマルチパン」が完成しました。

簡単お手入れで一生もの

鉄製品といえば手入れが難しいというイメージがありますが、おもいのマルチパンは「使用後はサッと洗いよく乾かす」を実行していただ ければ大丈夫です。
最初にお使いになる時は、フライパン全体をよく洗ったらすぐにお使いになれます(最初は洗剤を使用しても大丈夫です)。
火にかけて、水気を完全に飛ばして下さい(無塗装で錆び防止の塗装は、されていませんので空焼きをする必要はありません)。

調理した後は、マルチパンが温かいうちにタワシや竹のササラなどを使ってお湯で洗い流して下さい(食洗機では洗わないで下さい)。 油をなじませ油膜を作ることで焦げ付きを防ぐので、基本的には洗剤は使わないで下さい。その後、火にかけて水気を飛ばし乾燥したら表面に油を薄く塗って保管して下さい。

商品には絶対の自信を持ってお渡ししていますが、万が一商品に割れ や欠けがあった場合には取替交換をさせていただきます。